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 『Life is Beautiful』をのぞきにきてくださってありがとうございます。
 しばらくサイトをあちこちさわる予定なので、お見苦しいところもあるかもしれませんが
 ご理解ください。よろしくお願いします。

 現在お話の更新予定はまだ未定となっております。今しばらくお待ちくださいm(__)m

 INDEX

2017.11.01 Pretty向日葵のドタバタBIRTHDAY 後編
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※2人そろうとホントに好き~幸せな気持ちを、皆さんにもおすそ分け


冷たい飯を食う前に___留置所とやらから出れるようになった俺。
一応だがなんだが知らねぇが
身請け受取人が必要だとかなんとか言って、つくしが迎えに来た。

で、もって、で、もってだ。
「もう、あたしメモ渡したよね! 向日葵、三人と出掛けるよって」
なんてプリプリと怒ってる。

いや、聞いてねぇ。全くもって聞いてねぇ。
だが、だがだ、ここで言い返そうもんなら十倍にも百倍にもなって返ってくる。

しかもだ、俺、分が悪い事に向日葵の大事な誕生日を一日勘違いしてた。
そんなこと____言えねぇ、言えねぇ。 本当に言えねぇ。
言い訳するわけじゃないが、10月はクソ忙しかったんだ。宇治の茶祭りから始まって、風炉の名残りの茶会まで。それに加えて炉開きの準備だ。 
極め付けは、トイレに貼られた日めくりカレンダー……31日の日付になってたんだ。そうだ、そうだ。アレが悪いんだ。
「ぁんっ? 何、さっきからブツブツ言ってんの?もうさ、ホント独り言多いよね。それ、次期家元として気をつけた方がいいよ」                      
あっ、いや、お前よか少ないよな? 第一、つくしと結婚してから出来た癖だぞ。しょ、諸悪の原因はつくし、お前だ!
なんて事は勿論すぎるほどに言えるわけもなく
「それよか、向日葵を迎えにいくよ」
「む、迎えに?」
「道明寺達が預かってくれてるから」
つくしは、そう言いながらスタスタと前を歩いていく。呆気に取られながら足がとまった俺に____
「ほら、ほら、早く」
顎をしゃくって合図する。
なぁ、つくし、いつからお前そんなに強くなったんだ。だけど、惚れた弱味。言われるがままに後を追う。
道明寺邸についてみれば
「あっ、パパ!」
向日葵が小っこいキクを引き連れてやってくる。感動の再会!

___と思いきや
「ピーポーピーポー すごかったね」
痛いところをついてくる。

でもってだ、何故か親父とお袋も来ていて___みんな揃って三角帽を被って向日葵の誕生会だ。
三人の膝の上に代わる代わるに、抱っこされ始終ご機嫌な向日葵を見れば、早く帰るぞとも言えなくて今年も皆んな揃って誕生会だ。

に、してもだ。天下のF3が、ハッピーバースディー テゥーユー なんて声を張り上げて歌ってるんだからな。色男達も形無しだよな。

フッ、こんな誕生日も悪くないか。
だよな。なんてったって向日葵のこんないい笑顔が見れるんだからな
向日葵が大きな口でケーキを頬張り、口の周り中をクリームだらけにしている。つくしが袂からハンカチを取り出して向日葵の口元を拭こうとした瞬間

ひらりっと 白い紙切れを落とした。

拾い上げてみれば

F3と向日葵出掛けるからねー の文字。
つくしの眼の前でメモをひらひらとふれば、
「あっ!」
大きな瞳をまん丸にして、シマッタの顔。

だよな。だよな。だよな。俺、貰ってねぇもんな。

さぁ、災難だった1日の落とし前___どうやってつけて貰おうかっ

クククッ

えっ、な、なんで?!

あっ……。

そういえば今朝……。

つくしが総二郎にメモを渡そうとしたとき、スマートフォンが鳴り響いた。
「あきらか。どうした、何か用か?」
そう言って総二郎は立ち上がり部屋を後にした。
相手があきらであることから、つくしは今日の事を報告するためにかけてきたと思い込み、すっかりメモの存在すら忘れていたのだ。

「つくし、向日葵、それ食ったら帰るぞ」
向日葵ちゃんは咄嗟に残っているケーキに目をやった。お皿にはあと二口、三口ほどで食べ終わってしまうであろう量がちょこんと残っている。
「え~、まだいるー!!」

「向日葵はそろそろ寝る時間だろ?それにキクももう眠たそうだぞ。可哀想だろ?」

「はぁい……」
キクをじっと見つめ、向日葵ちゃんは頷いた。
端から見ればそれは何の変哲もない光景。

けれどもつくしの目には違って見えていた。
総二郎は向日葵ちゃんと会話を交わすなか、ちらりちらりとつくしを見ていた。当然つくしもそれに気づいていた。

やばっ!!

ど、どうしようっ!!

慌てて視線をそらしたつくしだが、少しの間をおき恐る恐るその顔をあげると、再び目と目が合った。瞬間、総二郎はニヤリと笑う。

つくしは向日葵ちゃんと同様に思わず自分のお皿に残るケーキをみつめる。
「早く食えよ。向日葵の寝る時間が遅くなる」
その言葉につくしは無言で最後の一口を頬張った。
「向日葵、また来いよ」

「向日葵、今度は俺の家においで」

「ひま(向日葵)、またね」
「はーい。おじちゃま今日はありがとう!

ほらっ、キクも!!」
向日葵ちゃんは小さな体でだっこしているキクの手を軽く振る。
「くくっ、向日葵、重いだろ?パパが代わってやるよ。」
総二郎はひょいっとキクを抱き上げるとつくしの耳元で『お前は屋敷に帰ってからな』と囁き、向日葵ちゃんの小さな左手を握る。

つくしはその言葉にぼっと頬を染めていた。
「帰るぞ」

「うんっ」

「うん…」
「「「「じゃあな」」」」

こうして道明寺邸の玄関先で声を掛け合い、それぞれが帰路へ着いた。

いろんなことがあった1日…向日葵ちゃんは車に乗ると直ぐに夢の中。まるで、お姫様のように可愛らしくしてもらって、くるくるしたリボンが揺れるプレゼントの包みを枕にしてる。

やっぱ、可愛いよな…。

良かったな、みんなに祝ってもらって。

ちょっとパパがドジしちゃって驚かせたけど、それだけ向日葵が大事だったって事だ。
今日から家族になったキクが、眠ってる向日葵ちゃんの顔をペロッと舐めるのを総二郎が慌てて止めた。
ただ…そこで、ずっと窓の外に視線を向けて知らん顔してるのがつくし。

しかも、総二郎と微妙に間を開けている。

お前、目が泳いでるぞ?

気がついてねぇだろうけど、耳まで赤いんだけど?…ってことは覚悟できてんだろうな?
車が西門についた。

すっかり寝込んだ向日葵ちゃんを抱き抱えた総二郎の遥か後ろを、キクを抱えたつくしがとぼとぼとついてくる。
「今日はキクを陽子さんに頼んで世話してもらえよ?…つくしには話があるからな」
「えっ?!い、いいわよ!キクの世話なら私がみるわよ!そ、総はほら!向日葵のことみててよ…………だめ?」
そんなもんに返事かいるか?

ダメにきまってるだろ!
総二郎は向日葵ちゃんをベッドに寝かせて、そっとおでこにキスをした。

「おやすみ…誕生日、おめでとう…向日葵」

「さて……つくしは、こっちだな。朝までたっぷり時間はあるし。俺に濡れ衣きせたんだ。わかってるよな?」
「あはは!…いや、ほら…忙しかったからよ!誰だって勘違いってあるじゃない?」
「へぇ…、勘違いね!自分だけそんな言い訳で逃げられると思ったら大間違いだぜ?

んじゃ、俺の言い訳はベッドの中で聞いてもらおうか?」
「…やだ!総、…本気?」

ニヤリと笑う総二郎は、バタンと後ろ手に寝室のドアを閉めた。
愛娘の誕生日…その締めくくりは…
ヤバイ。

これはかなりヤバイぞ?

総二郎がこわいくらいに

ニコニコしているじゃない!

こういう時の総二郎は、容赦がないのよ?!
つくしの脳裏に浮かんだのは、朝までお仕置き(?)される『問答無用でがっつり朝までコース』。一度寝室に入れば、朝までベッドから抜け出す事は絶対に許されない。

ここで万が一、つくしが抵抗を試みてみようものなら『まさかの二夜連続手加減無し朝までコース』にパワーアップされてしまうはずだ。
なんとか下手に総二郎を刺激しないで、

平和にやりすごさないとね。

総二郎は只でさえ激しいんだもの!

何か、総二郎の気が散らせるもの・・・。

・・・そうだ!

あの話題だ!!

「えっと、えっとね、ひ、向日葵がね?

お迎えに行った時に、なんて言ったとおもう?!

『ひまわりね、今日からキクのお姉ちゃんになるの!』

なんて言ってたのよ?」

「へえ・・・。向日葵が?」

「そうなの!あの子がそんな事を言うなんてね。

いつのまにか成長してると思わない?

ふふっ。お姉ちゃんになりたいなんて、

可愛い事を言うようになったよね。」

「そっかぁ。

じゃあさ、本当のお姉ちゃんにしてあげよっか?」

「へ?!」

フワッ。
総二郎はつくしを抱き上げると、ふかふかの太陽の香りのするお布団に降ろした。

「ちょっ!ちょっと待って!

私、着替えてもないし、お風呂にも・・・。」

総二郎の顔が近づいたかと思うと、チュッと優しいキスが、つくしの唇に降り注ぐ。

「そ、総二郎ったら!」

総二郎の手はすでにつくしの帯締めを外し、帯自体を取り外し始めていた。
「向日葵が本物のお姉ちゃんになるためには、

二人目がいないとダメじゃね?

つくしも俺と同じでやる気満々だったとは、

嬉しい誤算だな。今晩は頑張ろうな❤︎」

「えっ、えっ、え~~~!!」
まじ?!

私、地雷踏んだ?!
あっという間につくしは着ていたもの全て脱がされ、総二郎がつくしの躰に覆い被さった。もちろん、その晩は『問答無用でがっつり朝までコース』。

つくしはつくづくメモを渡し忘れた事を後悔したのだった。

タタタタタタタタ!

バン!
「パパ、おはよう!・・・あれ?ママは?」

勢いよく扉を開けたのは向日葵ちゃん。

朝日が程良く差し込むつくしこだわりのインテリアと、家具が品よく並べられているリビングのドアを開けた。

そこには新聞片手に、香りよいコーヒーを口にしながら、爽やかな笑顔を携えた総二郎がいた。
「ん?ママはほんの少しだけ遅く起きるよ。

それより、向日葵、今日は早起きだね。」

「うん、だってキクのお世話しないと!陽子ちゃんのところ行ってきてもいい?」

「あぁ、パパも行こうか?」

「もうお姉ちゃんだもん!ひとりで平気~。行ってくる!!」
頬を紅潮させて向日葵ちゃんはキクのいる陽子さんの部屋へと嬉々として駆け出していった。
「誕生日…か………。すごいもんなんだな。」
向日葵ちゃんの後ろ姿をみつめながら総二郎は小さく呟いた。

たった1日でまた少し成長した向日葵ちゃんを微笑ましく、逞しく思いながら、
『来年の誕生日は邪魔されることなく家族水入らず、3人…いや4人で笑いながら楽しく過ごそう』
と心に決めたのだった。
fin

2017.11.01 Pretty向日葵のドタバタBIRTHDAY 中編
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※こちらもプルメリアさんより❤かわいい!


―まさかここにいたとは…
類に『つれて行く』と言われていたのだが、愛娘の一大事にいてもたってもいられない総二郎は使用人に類のスマホのGPSを追跡させ、向日葵ちゃんの居場所を突き止めた。
総二郎の目の前には広大な敷地が広がる東京世田谷・道明寺邸がある。
自宅からは歩いて5分。
F4の自宅のどこよりも重厚な門を顔パスして中に入り、バカでかい玄関に勝手に入ると老婆が総二郎を出迎えた。
「おや、西門の坊ちゃん。うちの坊ちゃんは東の奥に皆様といらっしゃいますよ」
「タマさん、向日葵は、向日葵も一緒?」
「ええ、いらっしゃいますよ」
―司め、つくしを諦めきれてないのは気づいてたが、向日葵を拉致するとはいい度胸だ!
総二郎は右手を上げてタマの横を通り過ぎると広すぎる道明寺邸の東の部屋を目指して早歩きで先を急いだ。
バーン!
観音開きのドアを勢いよく開けるとそこには驚いた表情のあきらが立っていた。
「そ、総二郎…」
「お前等…」
眉間にシワを寄せてあきらに詰め寄る総二郎。
「俺は牧野にちゃんと伝えたぞ!」
「やかましい…」
するとソファに深く腰掛けていた類が
「総二郎のほうがよっぽどやかましいよ」
そう言って大きく欠伸する。
そしてラスボスの司は鏡の前に立ちながら目に入れても痛くないほど溺愛する愛娘・向日葵ちゃんの横にいる。
「司…何してんだ」
「何って向日葵にドレス着させてるに決まってんだろ?」
「決まってんだろって、お前が着せたのか?」
「まあな」
まあな、じゃない。
総二郎はそう心の中でツッコミを入れながら向日葵ちゃんに近づき、抱きしめた。
「お前等!勝手に(俺の)向日葵を連れ回すなんていい度胸じゃねーか!ふざけたことをしやがって!」
「牧野には言ってあるぜ?」
「司!なんでつくしに言うんだよ💢さてはお前まだ…」
「まだ…なんだよ💢」
「とにかく!向日葵は連れて帰るぞ!」
そう言って小さくも煌びやかなドレスに身を包んだ向日葵ちゃんの手を取ると、家に帰るために部屋を出ようとした。
すると向日葵ちゃんがツンツンと総二郎の手を引っ張った。
「ちょっとパパ!今日なんの日か覚えてないの?」
「今日?」
「そうよっ!」
「今日は11月1日…アッ!!!」
―しまった…向日葵を探すことで頭がいっぱいで…
「もしかして…忘れてたの?」
「いや、そうじゃない!そうじゃないんだ向日葵!」
「ひどい!ひどいよパパ!!」
そう、今日11月1日は向日葵ちゃんの6回目のお誕生日。
「向日葵がいないと西門の家では大騒ぎだったんだ!誕生日を忘れてたわけじゃない!」
向日葵ちゃんの頬はフグみたいに膨れている。
両手をブンブン振りながら6歳児に否定する姿はとても次期家元になる人間のそれではない。
「なんだアレ」
「情けないな…」
「かっこ悪…」
3人が笑いながら総二郎と向日葵ちゃんのやり取りを眺めていた。
「う、うるせぇっ!!」
額からは珍しく大粒の汗が流れている。
するとそんな総二郎の横を黒い塊のようなものが通り抜けた。
「ぐおっ!!」
叫び声を上げたのは司だった。
黒い塊にのしかかられて尻もちをついているではないか。
「やめっ…やめろっ…!」
「アッ、キク―」
向日葵ちゃんにそう声をかけられたのはミニチュアピンシャーと思われる子犬だった。
「パパ!このワンちゃんね、F3おじちゃま達が向日葵にプレゼントしてくれたのー」
「この犬を?」
「うんっ(o^―^o)お名前はね『キク』っていうの!」
キクと名付けられたミニチュアピンシャーはと言えば、新しい飼い主となった向日葵ちゃん…ではなく、プレゼントしたほうの司に懐いているようで、先ほどから顔中を舐めまわしている。
司はと言えば顔色は青く、額のあちこちに青筋が出来ている。
それまで向日葵ちゃんのことが心配で仕方なかった総二郎の頬は緩み、情けない声を上げる司を見て緊張の糸が切れていた。
「そうか、よかったな向日葵…」
「うんっ」
顔中舐めまわされててテカテカになった司から『キク』を引き離すと、
「お前等、いろいろ悪かったな。つくしに確認もせずに…」
「わ、わかれば…いいんだ…」
「向日葵が喜んでくれたし結果オーライだね…」
「ま、そういうことだ」
ハンカチでビショビショになった顔を拭く司
ニコニコしながら向日葵ちゃんの頭を撫でる類
総二郎に抱かれた『キク』の背中を摩るあきら
そしてニコニコしながら総二郎を見つめる愛娘・向日葵ちゃん。
総二郎はこれ以上ない幸福感に包まれていた。
「悪かったな。つくしが待ってるし、向日葵の可愛い姿を早く見せてやりてぇんだ。そろそろ帰らせてもらうぜ?」
「ああ…そうしろよ」
3人に礼を言い、『キク』を右肩に乗せ、ドレスアップした向日葵ちゃんの右手を自分の左手でしっかりと繋ぐと道明寺邸の外へ出る。
「よかったな…向日葵」
「パパったらずいぶん焦ってたね。大丈夫?」
「ん?ちょっとびっくりしただけ…」
重厚な門を開けて公道に出た時のことだった。
「おい、出てきたぞ」
「よし、逮捕だ!」
門の外に待ち構えていたと思われる数人の男が総二郎から向日葵ちゃんと『キク』を引き離した。
「な…どういうことだ?!」
幸福感から一変、訳のわからない総二郎は再び額に汗をかき始めた。
「誘拐事件の通報とGPS追跡依頼が署にあった。西門向日葵誘拐容疑で逮捕する」
「おい、ちょっと待て!向日葵は…!」
首を左右に振りアタフタしながら警察車両に乗せられてしまった総二郎。
後部座席の左右には大きな体で強面の警察官。
あっという間に手錠をかけられ、なすすべもなく向日葵ちゃんを保護する道明寺家の使用人を残して道明寺邸を出発する。
「警察には連絡するなと言ったのに!」
「なんだと?計画的犯行か?」
「違う!!」
向日葵ちゃんが西門邸からいなくなったとき、身の安全が第一だと警察に通報しないように言ったのは総二郎。
しかし、類の携帯を追跡するために頼んだ使用人が警察トップに連絡をしたのだろう。
所轄の刑事に細かい経緯など知らされるはずもなく…。
己の命よりも大切な向日葵ちゃんの誕生日。
果たして今日のうちに総二郎は留置所から出られるのだろうか?!

2017.11.01 Pretty向日葵のドタバタBIRTHDAY 前編
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※イラストはプルメリアさんからのプレゼントです!素敵すぎる!!!!!
ありがとうございます~~~~~


今日は向日葵ちゃんの誕生日。
なのに、なのに!!
ぜんっぜんつまらないの。
だってパパもママも遊んでくれないんだもん。
パパはスマートフォン持って部屋を出て行っちゃうし、ママはキッチンに籠もりっきり。
それにね。
お誕生日なのにおめでとうも言ってくれないんだもん。
お誕生日だよ?
ひどいよね?
大好きなパパとママに構ってもらえず、お祝いの言葉も言ってもらえない向日葵ちゃんは朝から少しご機嫌斜め。
向日葵ちゃんは日差しの降り注ぐ窓際のフローリングにぺたんと座り込んで、ほっぺを少し膨らませながら外をみつめている。
そうだっ!
こういうときは……。
ぱっと閃いた向日葵ちゃんは音を忍ばせそっと立ち上がると、そろりそろりとつくしにみつからないように庭へと繰り出した。

庭には植物が大好きな向日葵ちゃんのために『向日葵ちゃん花壇
』なるものが作られ、四季折々の花を咲かせている。
そんなことをしなくても西門の広大な敷地ならば、さぞやたくさんの植物が育てられ、手入れも十分すぎるほど行き届いているはず。
けれども向日葵ちゃんが『可愛い花壇がほしいの』と訴えれば………結果はご覧の通り。
ただこの向日葵ちゃん花壇、難点がひとつ。
日当たりや土壌に拘った結果、母屋から少し離れどちらかといえばお屋敷の出入口に近い場所に作られたのだ。
向日葵ちゃんは総二郎お手製ベンチにぽすんと腰を落ち着けると、綺麗に花を咲かせるコスモスをに見惚れていた。
「…………」
コスモスに魅入っていた向日葵ちゃんの後ろから、くぐもった声がして


「向日葵様、向日葵様~」
向日葵ちゃんのお付きの陽子さんが探しに来た時には、向日葵ちゃんの姿は、忽然と消えていた。後に残っていたのは、向日葵ちゃんの髪を飾っていた真っ赤なリボン。
陽子さんは、リボンを拾い上げながら
「向日葵お嬢様、向日葵様」
大きな声で向日葵ちゃんを呼んだ。
なのに……お庭にも、水屋にも、倉の中にも、何処にも向日葵ちゃんの姿は見当たらない。
「若奥様、向日葵様が向日葵様が」
陽子さんがそう叫びながら、真っ青な顔で母屋に入って来たのと、リーンリーンとけたたましく音がなる受話器を、丁度目の前を通った総二郎が、とったのは同時だった。
受話器の向こうから、電波が悪いからなのだろうか、途切れ途切れの向日葵ちゃんの声が聞こえる。
『……パパ…………わた…………ないしょ……』
『向日葵、向日葵、いまどこだ?』
総二郎が受話器ごしに叫べば
ギャッー
断末魔のような声と共に、電話が切られた。
総二郎の身体は、己の意思とは関係なくガタガタと震え出す。
己の命よりも大事な向日葵ちゃんの身に何かがあったらと思っただけで、震えが止まらないのだ。
「若宗匠…………警察に、警察に連絡を」
「いやっ、だめだ。向日葵の、向日葵の身に何かあったらどうするんだ」
眉間に深い皺を寄せ目を瞑り何かを逡巡したあと総二郎は、親友のダイヤルをプッシュした。
「どうした?総二郎!な、なにか用でもあるのか?ちょっと俺も今、忙しいんだけどっ…!」
総二郎がかけたのはあきらだ。
でも、あきらの様子がおかしい。しかし、今はそんなあきらに構っちゃいられない。総二郎は自分が少し興奮しているのを抑えようとして、一度大きく深呼吸をした。
「あきら?あのな、今うちの向日葵から妙な電話があったんだけどさ…」
「うわぁぁ!悪い!総二郎!後で…後でかけ直す!!」
「なんだと?!おいっ!向日葵の一大事になに惚けたこと言ってんだよ!…おいっ!」
ブチッ…!ツーツー…
あきらに一方的に切られた電話…。何てヤツだと電話を睨みつけていた総二郎だが、そもそもあきらにかけて解決すると決まっているわけでもない!次はあいつに電話をしようと、再び深呼吸をして電話を持ち直した。
「どうしたの?何かあったの?二人ともそんな怖い顔して…向日葵は?」
その時に母屋の方から来たのはつくしだった。
庭での騒ぎに気がついたのだろう、エプロンで手を拭きながら不思議そうな顔で総二郎の近くまで寄ってきた。
「あぁ!若奥様!実は向日葵様が何処にもいらっしゃらないのですわ!随分と探したのですけどお姿が見えないのです!そ、そしたらお庭にこれが…!」
陽子さんが震える手で差し出した向日葵の赤いリボン。総二郎はそれを受けとるとぎゅっと握り締めた。
「くそぅ!一体何処に連れて行かれたんだ!俺の大事な向日葵を…!絶対に許さねぇからな!」
「連れて行かれた?」

折角、連れ出したのに……
折角、本人から連絡させて許して貰おうと思ったのに……
………司の……バカ……
何で、子犬に舐められたくらいで叫ぶかな?
ひま(向日葵)がビックリして、電話切っちゃったじゃん!
どーすんだよっ!今頃、西門家は大騒ぎになってるんだよ……きっと……。
……って、あきら……
何で、巧く誤魔化せないの?
何をそんなに、狼狽えてんのさ……
どうせ相手は、総二郎でしょ?
「うわぁぁ!悪い!総二郎!後で…後でかけ直す!!」
って、何?
……そして、またしてもブッチ切りしたよね?
責任持って、後でかけ直してよ。
総二郎に黙って連れ出した時点で、こうなる事位想像出来るでしょ……
……あれ?牧野には連絡してたのにな?
総二郎には、言って無いのかな?
……………あれ?……
類は、あきらが切ってしまった電話の後、
次は必ずこっちに掛かって来そうだと推測。
ひま(向日葵)の電話を切らせた司と、
狼狽え過ぎて自ら電話を切ったあきらを睨み付け、
『総二郎』
の、スマホの画面をタップした。

普段は冷静沈着で、めったに大きな声を出さない総二郎が、愛娘の向日葵が誘拐されたと大さわぎ。
「そ、総二郎!落ち着いて!」
「これが落ち着いてられるかよ!?
向日葵から電話があったかと思ったら、
悲鳴が聞こえたんだぜ?!
男の悲鳴だった!
なんとなく悲鳴は司の声のような気がしたから、
速効司に電話してみたけどつながんねぇ!
しかたねぇからあきらに電話してみたら、
今は電話にでれねぇっていうし!
なんなんだよ?!向日葵をどこにやったんだ!!」
「えっ・・・。道明寺に、美作さん?」
ふと、先日あの連中からつくし宛てに電話があったこと思い出した。
ん?そういえば、今日は確かあの連中が向日葵を・・・。
「ねえ、たしか向日葵はね・・・・。」
RRRRR♪RRRRR♪RRRR♪
プライベート用の総二郎のスマホが鳴り響いた。
「誰だ、こんな非常時に?!・・・・類?
類もなんかかかわってんのかよ?!
もしもし、俺だ!向日葵をどこにやったんだ?!」
「・・・・・うるさいよ、総二郎。声がおっきい。」
「なんだと?愛娘の一大事に暢気な声で電話しやがって。」
「その、大事な向日葵ちゃんのことなんだけど?」
「まさか・・・、お前が向日葵を誘拐したのか?!」
「もう、早とちりしないで俺の話をきいてよ。いい?
今日は司・あきら・俺で、向日葵をドレスアップさせてくることになってるの。
そしたら一緒にそっちへ向かうから。
あ、この話、牧野には連絡済みだからね?
じゃあね~♪」
ツー・ツー・ツー・・・・。
スマホの画面を見つめたまま、総二郎は固まっていた。
落としかけているスマホを総二郎の手からそっと受け取り、つくしは申し訳なさそうに上目遣いで総二郎の顔を覗き込んだ。