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2017.01.20 そのまなざしのみつめるさき 19
そのまなざしのみつめるさき
=目覚め1 SIDEあきら =

「よお。どうだ、あきら。」

天気のいい午後の時間。牧野の病室に現れたのは司だった。その手には・・・

「お前な、気持ちはわかるがな。そういうの馬鹿の一つ覚えっていうんだぞ。」

手にはまたも団子。牧野への土産だ。いや、いいんだけどな、牧野も喜んでる感じでいつも食べるし。でも毎度毎度団子ってのもどうかと思うんだよな。

「いいじゃねぇか。牧野が食うんだ、お前が食うわけじゃねぇだろ。それに、あいつこれなら結構食うだろ。」

「まあ、そうだけどな・・・」

毎度毎度その団子と一緒に茶の相手をしてる俺としては、たまには違うものが食べたいんだが・・・まあ、そんなことをこいつに言ってもしょうがない。

「牧野はどこ行った?桜子は?」

「今2人して奥の部屋に引っ込んでる。桜子がまた“気分転換”をはじめてな。」

「・・・ああ、あれか・・・」

桜子の言うところの“気分転換”。まあ男の俺たちには全く思いつきもしないものだったが、たまにはあんなおふざけもいいんだろう。滋もなんか勢い込んで鼻息荒くして先週来てたし、牧野も心なしか楽しそうにしてるし。

司と一緒にソファに座り、かすかに隣から漏れてくる桜子の声に司とため息をこぼして苦笑いして顔を見合わせた。

「確かこの間は・・・セーラーなんとかってやつだったな。」

「愛の美少女戦士、だ。牧野、さすがに真っ赤になってたな。ま、いい傾向ではあるが・・・気の毒に。」

週に2・3度くらいの割合で、桜子の言う“気分転換”は行われる。いつも同じ病室で、同じ窓の外からの景色を見て、同じ壁を見て。それじゃ余計に気が滅入ると、桜子はこの病室にあの日から住み着いて、ことあるごとに牧野を外に連れ出していた。散歩だ、気分転換だ、そう言って。その気分転換に先週からなぜか、“コスプレ”が入った。提案したのは、もちろん滋だ。

『いっつもおんなじ服じゃ飽きるじゃない!たまには気分変えてさ、写真撮っておいてさ、あとでニッシー目が覚めた時に見せて喜ばせちゃおうよ!』

カラ元気に全く見えない元気の良さにさすがの牧野もひるんだのか、その後はもう好き勝手にされている。桜子がここに住み着き、牧野と寝食を共にするようになってすでに3週間。牧野は、あの頃より確実に元気になってるんだから、確かにこいつらの力はすごいんだろうと思う。





俺は、あの日の桜子の言葉と涙に、正直心を打たれた。俺たちの知らないところで、牧野と桜子にそれだけの心のつながりがあったことに驚き、そして牧野からもらった言葉を大事に抱え、それを牧野に返してやろうとする桜子を、すごくいい女なんだなと思えた。数年前、桜子の祖母、三条家の当主が一時期意識不明になったことがあった。その時に支えてくれたのが牧野だと、桜子は後からこっそり教えてくれた。

『先輩は、ホントに私の心の中にすっと入ってくるのがお上手なんです。強引に、ではなく、本当に寄り添うようにそばにいてくださいました。あの時してくださったことを、私はただ真似しているだけにすぎませんわ。』

そうだとしてもすごいことだと思う。あれから桜子は、ホントに、ずっと牧野のそばにいる。話せない牧野に、少しでも話させようと答えを求めるように声をかける。少しでも感情を動かそうと、それこそそんなきついこと言わなくても、そう思うことだって口にしていた。でも、そのおかげもあってか、牧野はわずかにほほ笑むようになったし、タブレットで語られる言葉も、だいぶ元気になっていると思う。

その裏で、桜子は時折泣いていた。そのことに俺は気づいていたが、あえて知らないふりをした。桜子が、それを望んでいるのがわかっていたから。





「あら!道明寺さんいらっしゃってましたの。お久しぶりですわね。さ、先輩。道明寺さんもいらっしゃるんですから早くなさってください。」

続き部屋のドアを開けた桜子の衣装を見て、どこの人形がしゃべっているのかと思った。フランス人形のような、衣装にメイクにカツラ。桜子の顔をして声でしゃべる、人形が立っていた。そしてその後ろからは・・・

「っ・・・かっかわいい・・・」

司が動揺のあまり漏らした声に、自分の言葉は飲み込んで苦笑いをする。黒い縦ロールのカツラにバチバチのまつげ。フリフリのレースたっぷりの衣装。牧野はかわいいお人形になっていて、ちょっと照れ臭そうに笑っている感じがなんともかわいらしい。

「似合ってるぞ、牧野。あ、桜子ももちろんな。」

「さ、今日はどこでお写真撮りましょうか!あ、せっかく道明寺さんがいるんですもの、ご一緒に写真どうです?」

ここは病院のはずなんだがいったい何をしてるんだ、と他人が見たら思うだろう光景だ。だが、問題はそこじゃない。そんなのはどうでもいい。肝心なのは牧野が、心を痛めつつも表情を見せるようになってくれたことが大事だった。

「道明寺さん、何顔を赤くなさってるんですか。ほら、執事のようにそこに立ってください。」

「あぁ?執事だ?」

ぎゃいぎゃいと騒ぐ司と桜子の声に。口の端がわずかに上がっている牧野を見るだけで、俺は安心していられた。現実から目をそらしたかっただけかもしれないが。

***
サブタイトルが変わって、あれから時間もかなり経ち、桜子と滋のおかげで
無表情だったつくしにも表情が出てくるように。声は出ないけど表情が出るのはいいことですよね。
さてサブタイトルがサブタイトルなので・・・そろそろ、かな。次回もお楽しみに~(*`・ω・)ゞ
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