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2017.01.18 そのまなざしのみつめるさき 18
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ11 SIDE 桜子=

「先輩、お久しぶりです・・・だいぶお元気になられました?」

私の声に、まったく何も反応しない先輩。無表情。今までこんな先輩を私は見たことがない。私をじっと見て、ただ見つめてくるだけで。

「牧野。桜子がな、お前が心配だからそばにいたいって押しかけてきたんだ。しばらくここにおいてやってくれよ。お前も、話し相手がいた方がいいと思うんだ。心の中にためてるもの、そのままため込みすぎるのはよくない。桜子なら気心も知れてるし、お前も話しやすいんじゃないのか?」

美作さんの言葉にも、美作さんの顔をじっと見るだけで何の感情も見えない。これは・・・こんな先輩になってしまわれていたなんて。それくらいのことが、確かに起きてしまったんだもの。こんな風になってしまわれるのも仕方ない。そうは思っても、この方のいつでも明るいあの様子をもう何年も見てきた私たちには、確かにつらいわ。見ているだけで涙が出そうになってしまう。いいえ、もちろん涙を見せたりはしませんけれど。

「先輩。私、彼に振られてしまって今一人なんです。先輩のそばにいても構いませんわよね?前も、私が振られた時には慰めてくださったでしょう?だから一緒にいてくださいません?ね?」

そっと、先輩の手を握ってみた。暖かい。それだけでほっとする。まるで人形のようになってしまわれてるから。その手をすっとひっこめられて、何をするのかと思ったらタブレットに手を伸ばされた。美作さんに聞いていた、何か話したい時にそうしているということは。でも、心が痛む。お話もできないなんて。その状況をすべて、先輩は1人で受け止めているのだから。

(あたしのそばにいても、いいことないよ)

(つらい思いさせるかもしれないから帰って)

書かれた言葉に、悲しくもなりほっともした。まだ、私のことを思いやってくださる先輩だ。昔とそんなところは変わらない。まったく変わってない。そうよ、変わるわけがないんだわ。この人は牧野つくしなんだもの。あの英徳の伝説の女なんですから。

「先輩。今はお一人になりたいのかもしれません。つらくて、つらすぎて、誰の声も聞こえないでしょうし聞きたくないでしょう。でも。それではだめです。心の中に、つらさをしまい込んではいけません。吐き出さなくては。1人で抱え込んでもいいことはない、仲間がいる、そばに私たちがいる・・・そう言ってくださったのは先輩ですよ。お忘れですか?」

先輩があたしを見てかすかに表情が動いた。

「お一人で考え込んでもいいことなどないのでしょう?仲間がいるのでしょう?先輩にもいますわ。私も、美作さんも。それ以外にもたくさん、そばにいたいと思ってくださる方は多いはずです。先輩がそう私に教えてくださったんですよ。一人で泣かないでください。一人で苦しまないでください。私だってそばにいますわ。先輩がつらい時、そばにいます。長い付き合いなんですもの。おそばにいてもいいでしょう?」

先輩の瞳がうるんでいた。どんどん潤んで・・・そこからはいくつもの粒があふれるように落ちている。

「先輩。お子さんは残念でしたわ。お体も今つらいでしょうからいいことなんて考えられないでしょう。でも。先輩があきらめたらどうするんですか?西門さんを、そう簡単に手放してしまっていいんですか?やっと結ばれたお相手です、大事にしないとバチが当たりますわ。そう、先輩おっしゃったじゃないですか。」

ボロボロと泣く姿はかつてのこの方の姿と同じ。

「大丈夫です。きっと、目を覚まされます。先輩のことも、たとえ道明寺さんの時のようなことがあったとしても思い出されます。先輩。愛しているでしょう?西門総二郎という人を、命と引き換えにしてもいいくらい愛しているでしょう?それはきっと西門さんも同じです。だから今西門さんは眠って、また愛するエネルギーを蓄えてるんですわ。なのに先輩が先にあきらめてしまってどうするんです。」

先輩が、震える手で私の手を握ってくれる。強く強くぎゅっと。

「待ちましょう、一緒に。大丈夫です、あの道明寺司が何とかなると、何とかするといってるんです。今まで何とかならないことがありました?だから、待ちましょう元気になって。笑っている先輩の方が、何倍も素敵ですわ。」

ぎゅうぎゅうと握られる手が、先輩の生きようとする力だと。そう思いたい。

「大丈夫ですわ。私がおそばにいます。美作さんもいます。だから一緒に。私と一緒に笑いましょう。つらくても笑うんだと、そうしたら幸せがやってくるんだとおっしゃったのは先輩ですよ。今のそんな顔じゃ、幸せがUターンしていっちゃいますわ。」

自分も泣いているのがわかった。私の後ろにいる、美作さんもきっと。

先輩の手がまた、震えながらタブレットに文字を書き込む。その文字はガタガタだったけれど。

(ありがとう桜子)

(そばにいてくれる?あたし、つらい)

はじめて見せる先輩の心の中の声。ずっと黙っていた言葉をやっと出してくださった気がした。

「ええ、一緒にいます。当たり前じゃないですか。」

涙を流す先輩が一瞬笑った気がして。私たちはいつまでも2人、涙を流した。

***
桜子ぉ~~~~~ホントにつくしが大切なんだなあと思える回でした。
桜子とつくしの、たぶん2人にしか見えない絆みたいなのはあったような気がしていたので
そこを書いてみたいとも思っていましたが・・・書いてて泣けたwww

やっと「つらい」と言ったつくし。小さな一歩、です。
次回からやっとサブタイトルが変わります(;^ω^)

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