FC2ブログ
 『Life is Beautiful』をのぞきにきてくださってありがとうございます。
 しばらくサイトをあちこちさわる予定なので、お見苦しいところもあるかもしれませんが
 ご理解ください。よろしくお願いします。

 現在お話の更新予定はまだ未定となっております。今しばらくお待ちくださいm(__)m

 INDEX

2017.01.16 そのまなざしのみつめるさき 17
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ10 SIDE桜子 =

ぼろぼろと、あふれてくる涙を止めることができない。どうして。一体どうして神様はこんなにも残酷なのかしら。

「・・・あの、お嬢様大丈夫でございますか?」

お邸に向かう間の車の中で、涙を流し続ける見たこともない私の姿に運転手が驚いて心配の声をかけてくれるけれど、それさえも悲しい。私でさえ泣けばこうやって心配してくれる人がいる。あの方にはもっといるのに。それを、きっと心を閉ざしてしまって今は気づくこともできなくなっているはずだと思うと。

「・・・大丈夫よ、ありがとう。お邸に急いでくれるかしら。」

はい、という返事とともに車の速度が上がった。その間に、メールを一件送った。彼に。

『申し訳ありませんけれど、お別れいたします。他に素敵な方ができましたの。』

会って話をする気にはなれない。とてもではないけれどウソでもこんなことは言いたくなはい。今の私を、こんな私をいとおしいかわいいと言ってくれたあの人に、笑ってウソを言いたくはない。でも。

「・・・今の私があるのは先輩のおかげ。私はどちらを取るかと言われたら・・・ごめんなさい。」

目の前にいない人に、心からの謝罪をつぶやいた。先輩がいたから、先輩のおかげで、出会えたおかげで今の、あの頃から変われた三条桜子がいる。それを人にわかってもらいたいとは思ってはいない。私がわかっていればいいだけのこと。先輩のおかげで私は今を楽しんでいられる。楽しいと思える人生を送れている。だから今度は私が。

「絶対に、別れるなんて許しません。あのお二人はやっと、やっと幸せになれたんですから・・・離れるなんて・・・」

西門さん。どうか目を覚ましてください、一日も早く。でないと先輩がまた遠くに、もう手が届かないくらい遠くに行ってしまうかもしれません・・・

お邸でおばあさまに今回のことを話し、当分お邸に戻らないと告げてそのまま先輩のおられる道明寺記念病院に向かった。そうよ。私だけではないのだから。皆さんがいてくださるのだからきっと大丈夫。そう心で何度も唱えながらドアの扉をノックした。

「・・・早いな、桜子。たぶんお前が一番にここに来るだろうとは思ってたが。もう夜だぞ、いいのか邸に帰らなくて。」

ベッドに横になった美作さんは、私が来ることを予想していたかのように話される。きっとこの方も私と同じだわ。絶対にあのお二人に別れてほしくない、何とかしたいと思っているはず。ご自分の心の奥の感情など、見て見ぬふりをして。

「調子はいかがです、美作さん。お見舞いが遅くなって申し訳ありません。何度かお尋ねしたんですけれど、お忙しそうでしたので。」

「ああ、気にしなくていい。俺も忙しくて来客の相手どころじゃなかったからな。寝てたって仕事はあるし、考えることも多い。それにしても・・・お前ひどい顔だな。泣いたのか?」

メイクは直してきたけれど、変に目ざとい美作さんにごまかしはきかないようだった。

「・・・道明寺さんにお話をお伺いしました。あれを聞いて涙を流さない人はいないと思いますけれど。」

「まあ、だよな。俺でさえ、あんまりな状況に頭が痛くなりそうだ。牧野の様子、見てるだけで胸が痛むよ。」

「先輩は・・・いかがでした?」

「いかがも何も。さっき一緒に夕食をと思ってな、病室に押し掛けたんだが。ホントに全然食べないんだ、牧野。牧野が好きなもの用意しても、何準備しても笑わないし、ほとんど食べない。強引にもっと食べろって押し付けてみたけど、心が拒否してる。ホントに、総二郎のことや子供のこと、自分のこと全部が一気にのしかかって、牧野の心が押しつぶされてるみたいで・・・見てられないぞ、実際。」

そんなに。苦しそうに顔をゆがめる美作さんの表情を見ていれば、どれだけのものなのかがなんとなくわかってしまった。

「お前、耐えられるか?今の牧野のそばにいるの、正直かなりきついと思うぞ。前の牧野じゃない。明るさも笑顔も、あいつらしさはどこかに置いてきたみたいな感じなんだ。大丈夫か?」

「どんな先輩でも先輩です。ご病気なんですもの、仕方ありませんわ。大丈夫です、絶対にまた笑ってくださるまで。西門さんとお幸せそうに笑うのを見るまではおそばにいます。“借り”を返したいんです。」

美作さんがくすっと笑う。

「・・・なんですか?」

「いや、お前がそんなこと言うなんて、と思ってな。“借り”か。確かに、俺たちは全員、牧野に借りがあるよな。あいつと出会ってなかったら、きっと俺たちの世界は今とは違ったはずだ。」

「ええ。ですからご一緒に頑張りましょう。西門さんが戻られるまで、西門さんの代わりに。」

「ああ。総二郎が戻るまで、な。」

ご自分が今、どんな顔をされているのかわかっているのだろうか。そこには触れない方がいいとは思うけれど。

「じゃ、とりあえず行ってみるか?」

美作さんに言われて私はご一緒に先輩の病室へと向かった。どんな顔をされるのか、怖くもある。でも・・・絶対にまたあの笑顔を見たいから。私、頑張りますわ、先輩。見ていてくださいね。太陽のような笑顔の西門つくしという人を思い描きながら、心を決めて足を進めた。

***
久しぶりの「まなざし」は桜子さん登場です。
桜子、彼と別れてまで・・・あきらが見てられないくらいつらいつくしのもとで支えてくれるみたいです。
さて、どうなるのか。桜子、あきら。頑張ってほしいな~。

※久しぶりの投稿なのに遅れてしまった~すみません(m´・ω・`)m ゴメン…
関連記事
スポンサーサイト



Secret