FC2ブログ
 『Life is Beautiful』をのぞきにきてくださってありがとうございます。
 しばらくサイトをあちこちさわる予定なので、お見苦しいところもあるかもしれませんが
 ご理解ください。よろしくお願いします。

 現在お話の更新予定はまだ未定となっております。今しばらくお待ちくださいm(__)m

 INDEX

2016.12.28 懐かしのこの場所で 4
懐かしのこの場所で

「ちょっと、総!いくらなんでもまだ高校生なんだよ!?いくら気に食わないムカつく性格でもちょっとは目をつぶってあげないとかわいそうでしょ!?こんな性格なんだから見た目くらいよくしたいんだよ!桜子ほど完璧じゃなくても整形までして頑張ってんだからそこは見て見ぬふりしてあげないと!」

「おい、つくし。」

「鼻がちょっと曲がってたからって死ぬわけじゃないんだから!いくら頭の軽い子だってわかっててもそこを必死で隠そうとしてるんだからそこは知らんぷりするのが大人でしょ!大体総だって高校の頃はこんなろくでもない子相手に遊びまわってたじゃん!」

「ちょっと、あなた!いったい何なの!?調子に乗らないでいただきたいわ!」

「は?」

どうやら俺に対して頭に血が上ったつくしは俺を怒ることに夢中で自分の言ったことはあまりわかってなかったらしい。だが藤堂は怒りと恥ずかしさで真っ赤、周りは真っ青な顔になってる。お前、おもしろすぎるぞ、つくし。

「わ、私は整形なんてしていません!失礼なこと言わないでちょうだい!」

これ以上この場にはいられなかったのか藤堂が走って出ていくと取り巻きも慌ててついて行った。ありゃフォローが大変だろうな、なんて思いつつつくしを見ればこっちもしまったって顔してる。

「・・・あたし、もしかしてかなり余計なこと・・・言ったよね?」

「いいんじゃねーの、あれくらい。たまには挫折も必要だろ、あの頃の俺らみたいに。」

その後、どうやらつくしが藤堂に言ったことに周りの生徒たちはすっきりしたのか、余計に懐かれてまたぜひ遊びに来てほしいなんて頼まれてようやく俺らは解放された。明日からの藤堂の態度が楽しみだとみんな内心笑ってた。俺らもまわりにこんなこと思わせてたんだろうかとちょっと考えちまう。

「あ~絶対傷付いたよねえ。どうしよう、申し訳なかったな。総に怒るのに必死でちょっと失言しちゃって、あたしもいい大人なのに・・・」

さっきから延々とこの調子でブツブツ言ってるつくしは肩をガクッと落としてて、その姿さえ昔とダブって懐かしい。そういえばここで短いあいだだったけどこいつのいろんな顔を見てたなあと思い出す。あの頃は世の中にこんな女がいるのかと違う意味で呆気にとられてたんだが。

「なあ、せっかくだからどっか行きたいとこねーのか?こんな機会ないし行ってみようぜ。思い出の英徳学園だろ?ほらほら、どこ行く?」

「え?う~ん、じゃあ非常階段!」

そっちかよ。類との思い出の場所に俺と行こうなんてのはちょっと気に入らないが仕方ないとついて行けばルンルンとスキップでもしそうな軽い足取り。さっきの失言のショックは吹っ切れたらしい。

「うわ~懐かしい!変わってない!」

非常階段なんてそうそう変わるもんじゃないだろと思いつつ類とつくしの定位置に立つ。見えるのはなんてことない中庭の風景と空。ここで2人は飽きることなく一緒にいて、時には2人で居眠りしてたよな。

「なんか思い出すね~、ここ。類といっつも一緒にいて話とかあんまりしなかったけどなんでもわかってくれてたなあ。類、いっつも寝てて、その寝顔が眠り姫みたいとか思ったこともあったかな。」

きっと今つくしの目に映ってるのはあの頃の類。そしてここで司を思ってた時間。それを類が慰めてたやさしい時間。そこには俺はいない。いや、この学園でのつくしの記憶に俺はどれだけいるんだろうか。たぶん誰より俺との記憶は少ないだろう、俺らはそんな近い仲じゃなかった。

そんな過去に嫉妬してなんとなくつくしの顔が見れない。あの頃の自分に戻れたら、なんて思うのもつくしに出会わなかったら考えなかったことだ。

「あの頃の総さ、ホントサイテーだったよね。いっつも両脇に毎度毎度違う女の子抱えてはべらせてて『いつか刺されるよ』とかあたしが言っても3回ルール律儀に守って遊びまくってたもんね。あの頃の総が今の総見たら『俺どうしたんだ?』とか言いそうだよね。」

あり得ないことを考えてくすくす笑うつくし。まあ確かにあの頃のことを言われると弁解の余地もない。だからできればそこは思い出さないでほしいんだが。

「遊んでばっかりのサイテーな人だけどいつかまじめに恋愛できるといいなって思ってたんだけど、まさかそれがあたしとだなんてね。ホントびっくり。ありえないよね。ねえ、あの頃より、今は幸せかな、西門さん。」

”西門さん”ってまるで昔に戻ったような呼び方につくしの顔を見れば笑って俺を見てる。

「西門さん。あの頃のお祭りコンビで美作さんと遊んでた頃より今は幸せ?」

なんて言っていいのかわからない表情をされて思わず返事に詰まった。

「あたしは幸せだよ。あの頃より、ここにいた時より、今が幸せ。今、ここに総と一緒にいられることが幸せ。総は?」

「俺も・・・幸せだ。あの頃より、今お前と一緒にいられて幸せだよ、つくし。」

なんだかたまらなくなってぎゅっとつくしを引き寄せて抱きしめた。今のこいつも昔のこいつも全部を抱きしめたい、そんな妙な気分。できるはずないのにこいつの全部を、過去まで独占したくなるなんてどんだけ心が狭いんだ、俺は。
関連記事
スポンサーサイト



Secret