FC2ブログ
 『Life is Beautiful』をのぞきにきてくださってありがとうございます。
 しばらくサイトをあちこちさわる予定なので、お見苦しいところもあるかもしれませんが
 ご理解ください。よろしくお願いします。

 現在お話の更新予定はまだ未定となっております。今しばらくお待ちくださいm(__)m

 INDEX

2016.12.28 懐かしのこの場所で 2
懐かしのこの場所で

パチパチパチパチ。きゃ~!こっち向いてぇ~!西門様ぁ~!パシャパシャッ!

「なあ、あのバカガキども、俺の話ちゃんと聞いてたと思うか?」

「自分がどうだったか思い出してみたら?あ、総はこんなの出たこともないか。あたしが高校生の頃は一応ちゃんと話聞いてたけど、たぶんあの子たちは話ってより総の顔見て写真撮る方に忙しかったと思うよ。」

「だよな・・・だからこんな仕事引き受けたくなかったんだよ、俺は。」

講演が終わった舞台袖でこそこそ話をする俺とつくし。どう見ても誰も話を聞いてないやつらに真面目に話をするのもバカらしかったが一応依頼はこなした。しかし、ホントにこんなのはバカらしい。どうせこいつらのほとんどが経済界に出るのに俺なんかの話が何の役に立つってんだ。

「西門様、お疲れさまでした。素晴らしい講演でしたわ。お茶会までまだお時間がございますからコーヒーでもご一緒いたしましょう。」

お前が一番聞いてなかっただろって言いたくなったのを堪えて藤堂を見ればまったく一分の隙もないメイク。今化粧直してきましたみたいな顔していったい俺の話の何を聞いてたんだか、逆に俺が聞いてみたい。

「あの、せっかくだからラウンジでコーヒーとかダメですか?」

「はい?」

つくしの提案に睨みを利かせた藤堂だったが俺ににっこり笑って『じゃあ、ラウンジにまいりましょう』なんていうあたり、昔を思い出して笑っちまう。どうもつくしも同じだったようで2人して苦笑いした。こんなとこまで昔と同じじゃなくてもいいんだがな、まったく。

「ラウンジは3年前に内装を一新いたしましたの。私の叔父がインテリアデザインの賞をとった有名な・・・」

延々自慢話を語る藤堂の横を俺が歩き、つくしは少し下がって歩く。仕事できた時は大体こんな感じでつくしは一歩後ろに下がって歩くんだが、どうも藤堂はそれを大きく勘違いしてるらしく俺にすり寄ってきてなれなれしく俺の腕に触れる。いったい何が悲しくてこんなガキ相手にって思うがさすがに怒れない。

「「うわ・・・」」

どう見てもどっかの勘違いヤローのゴテゴテ成金風に変わっちまったラウンジに思わず2人してため息とも落胆ともいえる声が出てしまったのは仕方ないだろう。品のいいなんて言葉とは程遠い、キラッキラゴッテゴテに飾り付けられたラウンジはどっかの王朝風デザインにすっかり変わっていた。

「ちょっと!コーヒー3つ、ここにもって来なさい。」

この趣味の悪い館の女王気取りの藤堂はそこらにいた男子学生に命令してコーヒーを頼んだ。それに誰より恐縮してるつくしにあきらめろと視線を送れば苦笑い。ホントに苦笑いするしかない状況だ、これは。ん?ちょっと待て、もしかして・・・

「なあ、あんた、もしかして静の親戚かなんかか?」

「ええ、私、静お姉様とは遠縁にあたりますの。ですから西門様のこともよく存じ上げてますわ。きっとここにいる誰よりも。」

そう言ってちらっとつくしを見ては優越感丸出しの顔を見せる。いくら静の遠縁でもお前なんかが俺の何を知ってるってんだ、いったい。どうもこういう勘違い女は苦手だ。だがその話に俺より食いついたのはつくしだった。

「静さんの?どおりでとっても美人さんだと思いました。静さんはお元気なんですか?もう何年会ってないんだろう?懐かしいね、総。今もフランスにいるんですか?今も弁護士さんしてるのかな?連絡とかあるんですか?あ、もうお子さんとか生まれたのかな?」

まさかのつくしの返しにびっくりしてる藤堂。さっきまで視界の端にも入れずに無視してたつくしが静を知ってるって話をするのは意外だったらしい。運ばれてきたコーヒーに礼を言って飲みつつ、藤堂を質問攻めにしてるつくしを見ておかしくなった。

ホントにへこたれず、昔も今も変わらない。表情をクルクル変えて話をするその顔は確かに大人になったがここにいた昔と何1つ変わってない気がする。昔のつくしの蹴りとグーで司を殴る姿を思い出して、そういやここだったと懐かしくなった。

「西門様。私、今度西門流でのお茶会に参加いたしますの。皆さん初釜にはどのようなお着物でこられるんですか?まだまだ初心者の私にいろいろ教えてくださいません?」

つくしの質問に適当に答えてた藤堂は俺に椅子を近づけて腕にその腕を回してくる。そんなこと、俺に聞かなくたって知ってるくせにあえて聞いてくるあたりが確信犯だよな。だがそんなのとっくにバレてんだがそんなこともわかんねーバカなのか。

「あのね、初釜には・・・」

「あなたには聞いてません。私は西門様に聞いてるんです。ねえ、西門様。今度ゆっくり教えてくださいませんか?私、とってもいいお店を知ってるんです。」

いったい高校生のガキのこれをどうしろってのか。俺に恋人がいることももう遊んでないことも、知ってるやつは知ってるってんだから藤堂だって知ってるはずなのにこの状況。お前みたいなガキに俺がその気になると思ってるところが痛いんだがいったいそれをどう説明するよ?

「お茶室の準備が整いました。」

そう呼びにきてくれたまじめそうな女の子にホントに感謝したくなった。
関連記事
スポンサーサイト



Secret