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2016.12.19 そのまなざしのみつめるさき 14
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ7 SIDE司=

道明寺へーーー

そう俺宛に始まったテキストを読んだ俺たちは言葉を失った。





道明寺へ

今回の件、きっとあなたのことだから俺のせいで、なんて苦しんでいるかもしれないね。
でもそれはそうじゃないよ。道明寺だって被害者。

誰も悪いわけじゃない。道明寺も、あたしも、総も。
あれは事故で、きっと運が悪くて、神様が試練をくれたんだと思う。
あたしたちの愛が本物か、あたしたちの友情が本物か。それとも偽物か。今あたしたちは試されてるんだよ。

だから謝らないでほしい。
きっとあなたは誰より後悔して自分を責めると思うけど、責めないでほしい。あなたは悪くない。

あなたはあたしと総の、誰より大切な友人。
あたしたちのせいで罪悪感なんて感じてほしくない。
罪悪感なんて感じなくていいから・・・図々しいけど、お願いをしたいの。

総をね、治してあげたいの。
あの人を、もう一度元気に、もう一度お茶を点てられるようにしてあげたい。
それがあたしの望み。だから、力を貸してくれないかな。

あたしには何もないし、何もできないけど、総には絶対に元気になってほしい。元に戻ってほしい。
だから、力を貸してほしい。

あたしね、なんとなく予感がしてるの。
総、目を覚ましたらあたしのこと忘れてるんじゃないかって。
あの時の道明寺の時みたいに。でも・・・今のあたしにはその方がいいのかもしれない。

だって、会えない。総に申し訳なくて、悪くて、今までみたいな顔して総のそばにいられない。
だから忘れてくれてたほうがいいのかも、なんて思ってる。

だからね。
もし総が目を覚ましたら。もし総が何も覚えてなかったら。
ううん、目を覚まして覚えていたとしても。

これからは何も考えずに、悩まずに、お茶の世界に戻れるように力を貸してあげてくれないかな。
あの人は西門に必要な人なの。総がいたら西門はきっともっとよくなる。
総は・・・総は絶対に西門に戻らないといけないの。

あたしのことは全部秘密にしてくれないかな。
覚えていなかったら何も話さないでほしいの。
あたし、今のあたしを総に知られたくない。難しいことだってわかってる。でも、お願い。

総が目覚めるように、力を貸してください。
どうか総のために。お願いします、道明寺。こんなこと頼むのずるいとわかってるけど。
お願い。










「・・・牧野、これ・・・お前、どういうつもりだ?」

やさしく、具合の悪ぃ牧野にやさしく話しかけてやりてぇのに、俺から出た声は地の底を這うような声だった。だが、隣で同じものを読んでたあきらも顔色が悪い。この牧野からの文章を読んで、たぶんこいつも同じことを感じたはずだ。

「総二郎が元気になるならなんだってやってやるさ。絶対に目を覚まして、元に戻れるようにしてやる。だけどよ、なんだこの、秘密にしてくれって。総二郎が目を覚ましたら、覚えてようが忘れてようが、お前のことを一番に話すべきだろ。あいつはお前の旦那で、それがどんな状態だろうがあいつには知る権利がある。」

「司、やめろ。」

「あきら。けどよ、」

「今の牧野にはやめとけ。今のこいつには・・・」

牧野の顔を見れば、俺を見てるその表情は見たこともない無表情で。いつも見てる西田よりも能面みたいな、感情をどこかに置き忘れてきたみたいな顔だった。

「牧野・・・お前、総二郎に全部秘密にして、そのあとはどうするつもりなんだ?そこまで考えてるんだろ?」

あきらがやさしく問いかける。

「・・・」

「お前のことだ、大体考えてることはわかる。だがまだ総二郎も目を覚ましてないし、だからあいつが目を覚ました時どうかなんてわからないだろ?目を覚ましてお前のことちゃんと覚えたら、何より先にお前のことを聞くはずだ。お前の体のこと、子供のこと。知りたいと言われれば俺たちは教えるぞ。あいつはお前の夫で、お前はあいつの妻で、お前のことは総二郎は知る権利がある。そうじゃないか?」

理詰めで話すあきらの声も、いつもみたいな余裕がない。

「まだ総二郎も目覚めてないのに、目覚めた後の最悪のことなんて考えるな。今はお前の体のことをまず考えよう。大丈夫だ、俺も司も、類だって桜子や滋だって、お前のことが誰よりも大事なんだ。ちゃんと、元気になれるよう、2人がまた元気になって笑いあえるよう、俺たちが全力を尽くす。俺たちを誰だと思ってる。な、司。」

「当たり前だ!俺様が絶対に、何があったってお前ら元に戻してやる!だから牧野!まだなんも始まってねぇうちからあきらめて弱音吐いてんじゃねぇ!お前は今あれだ、ほら、心の風邪とかってやつなんだよ。ちょっとまいってて具合が悪いんだ、ちゃんと、俺が治してやる。だから・・・頼むからそんな弱音吐かねぇでくれよ。それならいっそ俺のこと罵倒して怒って怒鳴って殴ってくれよ。な、頼むよ・・・」

俺たちをじっと見る牧野の顔にはなんの気持ちも読みとれない。牧野が俺たちの手元にあるタブレットに手を伸ばす。それを手渡すとそこにはたった一言。

(わかった。ごめんね。)

そんな言葉が聞きてぇんじゃねぇのに。笑ってくれよ牧野。俺のせいだって責めてくれよ。牧野との面会は俺をひどく落ち込ませるのに十分だった。

***
無表情で、自分のことなんて二の次で総二郎を助けてほしいというつくし。
わかるけど、でも・・・司もあきらも、余裕がありません。つくしなら何を考えてるかわかるだけに。
司には『誰も悪くない』って言ってるのに、自分を責めちゃうのがつくしです・・・

『そのまなざしのみつめるさき』は今週で今年の更新は終わりになります。
年内にあと3回お付き合いください。次回は水曜12時です~。
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