FC2ブログ
 『Life is Beautiful』をのぞきにきてくださってありがとうございます。
 しばらくサイトをあちこちさわる予定なので、お見苦しいところもあるかもしれませんが
 ご理解ください。よろしくお願いします。

 現在お話の更新予定はまだ未定となっております。今しばらくお待ちくださいm(__)m

 INDEX

2016.12.14 そのまなざしのみつめるさき 12
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ5 SIDEあきら=

「・・・」

3人そろって、何も言葉を発することができなかった。何を言ったところで、それは願望か弱音か希望に過ぎない。あまりにつらい現実を、直視するのはさすがにきつい。

「・・・わりぃな。らしくねぇこと言っちまった。」

何も言えない中で、それでも誰より先に前を向いたのは司だった。

「総二郎が目を覚まさねぇんだ、俺がこんなこと言ってられねぇな。総二郎の代わりに牧野を支えてやって、総二郎が目を覚ました時に元気な牧野に会せてやりてぇ。」

総二郎がいつ目を覚ますのかは正直わからない状況だと、昨日家元から聞いていた。脳の損傷だから後遺症が出る可能性もある。目を覚ましても、もしかすると・・・

「司。お前の気持ちはわかるが総二郎はもしかしたら・・・聞いてるんだろ?」

「俺も目を覚ました。あの頃の俺でさえ目を覚まして正気になったんだ、総二郎が起きねぇはずはねぇよ。総二郎には何より守ってやりてぇ牧野がいる。それをほおってあの世に行くようなヤワな奴じゃねぇだろ。俺にはわかる。だからあいつは絶対目を覚ます。」

司の、確信を持ったような言葉に心の中で苦笑いが出た。あの事件があってからすでに3週間。俺でさえ、総二郎の目覚めを信じながらも過去の司のことを思い出して多少弱気になっていた。恐らくそれは牧野も、総二郎の両親もだろう。だが司は信じてる。絶対に、何があっても目を覚ますと、牧野がいるから大丈夫だと信じてる。俺も、信じてやらないといけないのにな。

「だな。確かに、総二郎があんなに惚れてる牧野をおいてずっと寝てられるはずもない。そのうち目を覚ますか、あいつなら。」

「ああ。だからそれまでに、牧野をちょっとでも、俺はどうにかしてやりたい。」

赤い目をした司は、しばらく押し黙り何かを決めたかのように強い視線でまっすぐ前を見ていた。

「西田。」

「はい、司様。」

「アメリカの研究施設を買収する。牧野を治してやる方法を見つけられる専門医を大至急で集めろ。ばばあが総二郎の治療法を探させるのに、今買収に動いてるだろ。そっちも俺の元でやるからとばばあから権限ぶんどってこい。金は俺が出す。道明寺としてではなく、俺がやる。そこで総二郎が元に戻れるよう、牧野がまた妊娠できるよう、しゃべれるように、やらせる。」

「かしこまりました。急ぎ準備いたします。少々失礼いたします。」

西田さんは心得たかのように部屋を出ていった。目をふせた司は、ふっと息を吐く。

「あきら。総二郎に、会いに行かねぇか?」

「ああ、行くか。」

ゆっくりと、総二郎がいる集中治療室に向かった。会うといっても部屋の中に入ることはできない。ガラスのこちら側から、総二郎が目を覚ますのをただ待つだけだ。だが、機械に繋がれ眠る総二郎をじっと見つめる司は、総二郎に何かを誓うかのようだった。きっとこいつの中で、詫びるだけではすまないすべてのことに、詫びではない形でケリをつけようとしてるんだろう。

「・・・司。あれはお前のせいじゃない。そういったところでお前は気にするだろうけど、気にするなよ。そんなこと、総二郎も牧野も望んでないんだからな。」

「そうも言えねぇだろ。俺はこいつらを絶対元に戻してやる。一生かかってもな。そのためならなんだってやる。」

「そうか・・・」

この事件を、司は抱えていくつもりなんだろう。そして償いたいと思ってる。それに、壊れたものを元に戻したいのはこいつだけじゃない。俺だって同じだ。だが司自身は何も悪くないだけに気の毒でしょうがない。

「あきら・・・牧野のところにも行かねぇか?」

「・・・だな。一度、様子を見にいくか。」

重い足取りで牧野の病室に向かう。あの事件があってから司が牧野と顔を合わせるのははじめてだ。俺も動けるようになってから何度か病室を訪ねたが、牧野は精神的に不安定で俺に会えるような状況じゃなく、会いには行ってたが大体牧野が眠ってる時で、目を覚ましてる牧野と顔を合わせるのは俺も今日がはじめてだった。

病室の前には家元が疲れた顔をして座っていた。

「家元。どうも。大丈夫ですか?」

「ああ、あきら君。それに司君も。久しぶりだね、2人とも具合はどうだい?今日はつくしさんの見舞いか、すまないね。司君、本当に、よくしてもらってありがたいよ。」

「いえ・・・道明寺のせいで大変申し訳ありません。」

「・・・楓社長も謝罪にきてくれたがね、今回の件はもうあまり考えないでおこうと思ってる。誰が悪いかより、今はあの2人が元気になってくれればそれでいいんだ。」

やりきれない気持ちを抱え、やつれた顔で無理して笑顔を見せてくれる家元はとても痛々しかった。

「あの、牧野は・・・」

「ああ。今は担当医が様子を見にきてくれて問診中だ。そのあいだ外に出てくれと言われてね。うちのの代わりにそばにいたのに、私には聞かせられない話らしい。仕方ない。」

それでこんなところにいたのか、と思う。家元夫人もかなり憔悴していたのを知ってるだけに、すべてが今悪い方へと空回りしている気がした。

総二郎、早く目を覚ませよ。せめてお前が目を覚ましてくれれば・・・俺はただそう願うしかなかった。

***
今は司もあきらもつらいけど・・・総二郎が何もできない今だからこそ
2人には頑張ってもらわないと、なんですよね。類も動けないし、西門家も疲れてるし・・・

読まれてる皆さんも、結構きついだろうなあと思いながら更新しています。すみません。
こういうお話読み続けるのつらいだろうなとは思うのですが、お付き合いください。
関連記事
スポンサーサイト



Secret