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2016.12.12 そのまなざしのみつめるさき 11
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ4 SIDEあきら=

司がきてると聞いて向かった院長室。そこにはらしくなく頭を抱えて青ざめた顔をした司と、こちらもめずらしく顔色の悪い西田さんがいた。

「司、どうしたんだお前。体、調子悪いのか?」

今回の事件で司は腕と足を撃たれ骨折し、それぞれギブスで固定している。が、この化け物のような男は相当今回の件に責任を感じたんだろう、手術して3日で医者の制止を振り切って退院。この大スキャンダルの残務処理にあたってる。まあ骨折だしな、と思ってたら松葉杖もつかず無理をしてるらしく、西田さんが大変そうだとうちの親父が話していた。

今回の銃撃事件、正直司には何の非もない。日本支社長の独断でとある会社の特許技術を奪いとり、その会社を倒産に追い込んでいた。小さな会社だったらしく、技術開発のために借金を抱えてた社長はそれを苦に自殺。家族もつらい思いをしていた。その、息子の復讐だった。道明寺といえば、一番マスコミにクローズアップされてるのは当然司。真実は何も知らず、司に父親の復讐すべく機会を狙っていたその男は、今回の帰国を知って買っていた銃をもってあの場にやってきたのだ。

その事実はつい先日、調査報告と謝罪のための楓社長の記者会見を見て俺は知らされたが、司も何も知らないことだったらしい。大体NYに拠点を置いてる司が日本でのそんな細かい内情を知ってるはずもない。実際支社長はその報告は本社にあげておらず、即刻解雇し刑事告訴されたとのことだった。

「あきら・・・お前、調子はどうだ。」

「俺は大したことないさ。それよりお前大丈夫か?お前のそんな顔はじめて見るぞ。」

「俺は平気だ、なんてことねぇよ。それより・・・お前最近牧野に会ったか?」

「牧野?いや、あいつもだいぶ興奮してただろ?俺も検査や社の人間が来たりしてたからここ3日くらい会いに行ってない。」

「そうか・・・」

俺は太ももと腹を撃たれ、手術をして起きあがれるようになったのはここ1週間くらいの話だ。類は内臓損傷がひどくまだ起きあがれていない。花沢は病院を持ってるからと類はオペ後すぐに花沢の病院に移送され、あと2か月は絶対安静らしく暇だと昨日オンラインで話したばかりだ。

「牧野、どうかしたのか?」

俺も、牧野がどういう状況かは聞いてたし知っている。ようやくできた子供は流産してしまい、総二郎が自分をかばってケガをしたことをひどく悔やんで、あいつの精神状態が危うくなってたのもこの目で見ていた。

「司様、お話にならない方が。」

「普通だったら俺も話さねぇ。だが今は総二郎があんな状態だ。俺らが牧野を助けねぇで誰があいつを助けるってんだよ。それにはこいつにも、事情を話しておく必要がある。」

「ですが・・・」

「あきらだけじゃねぇ。桜子も滋も、なげぇ付き合いなんだ。何があったって牧野のそばにいてくれるはずだ。それには知らねぇと、あいつを支えてやれねぇだろ。お前が気にすることはねぇ、西田。俺が責任をとる。あとで総二郎に文句言われようが牧野に何か言われようが、俺が全部責任をとる。あいつらが元気になってくれるなら、俺はいくらでもなんだってやるぞ。」

まったく話は見えないが司の様子からして牧野か総二郎によほどよくないことがあるんだというのはわかった。

「司、どっちだ。総二郎か?牧野か?」

「今は牧野だ。あきら。さっき医者から報告を受けた。実は・・・」

司が話してくれた牧野の病状に、正直言葉が出なかった。子供が、もうできないかもしれない。それを知った牧野は、話せなくなっている。失語症。どれを聞いても、簡単に言葉さえ出ない話だった。

「・・・子供は、絶対また妊娠できるようにしてやる。うちの姉貴もなかなかできなくて、アメリカで医者にあれこれやってもらったからな。そっちは姉貴が全面的にバックアップすると言ってきてる。」

「そうか。椿さんがそこまで言ってくれるならかなり心強いな。」

「ああ。だが・・・」

子供は、可能性はゼロではないらしいから何とかなるかもしれない。だが・・・

「失語症ってショックが原因なんだろ?確かに今の状況じゃ牧野がまいるのも仕方ないだろうな・・・まあ、それも総二郎が目を覚ませばなんとかなるかもしれないし・・・おい、司?」

「・・・」

気を取り直すようにあえて普通に話をしたが司からは返事は帰ってこなかった。院長の席に座って、目元を手でおおうようにがっくりと肩を落としていた司は・・・泣いていた。

「司・・・」

「司様・・・」

長い付き合いになるが、俺は司が泣いてるところをはじめて見た。

「・・・俺はよ、あいつに幸せになってほしかったんだ。俺じゃ幸せにできなくて手放すしかなかった牧野を、総二郎はホントに大事に、幸せにしてくれてた。あいつが、牧野が幸せそうにしてくれてりゃ俺も幸せだった。なのに・・・俺が壊しちまった。俺が、総二郎も牧野も、お前らも傷つけて、あいつらの幸せぶち壊して・・・どうすりゃあいつらに償えるんだ・・・こんな・・・金なんていくらあったって償えねぇ。壊れちまったものを元に戻すことなんてできねぇ・・・」

はじめて見る弱った司の悲痛な声が、ただ部屋に響いていた。

***
自分が原因で壊してしまったものを一番悔やんでるのは司だろうな。
司もさ、つくしの幸せを誰より願ってたはずだから・・・つらいだろうなと思います。
次回もあきらです。しばらくあきらくん登場です。

次回は水曜12:00更新です。
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