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2016.12.07 そのまなざしのみつめるさき 9
そのまなざしのみつめるさき
=壊れた幸せ2 SIDEつくし=

「・・・現状としましてはまだ意識は回復していらっしゃいませんが、数値的には非常に安定しておりますのでもう少し様子を見るべきだと思っています。外的刺激には反応を示されてますので、脳の傷ついた部分も順調に回復しておられると・・・」

先生の、総の状況を話してくれる声がとても遠くに聞こえる。病院で目を覚ましてから、あたしは総のことも亡くしてしまった赤ちゃんのこともなかなか受け入れることはできなかった。あたしのせいで、あたしのせいで。ずっとその言葉が頭をよぎる。あたしを守ろうとして傷ついてしまった総。あたしが傷ついたせいでいなくなってしまった赤ちゃん。あたしは2人に謝りたいのに、今はそれをすることさえできない。

「まだ若奥様も回復されてらっしゃいませんから、今日はこのくらいにされた方が。じゃ、病室にお連れして。」

目が覚めてから半狂乱で連れてきてもらった総のいる集中治療室。何度きてもあたしはそのガラスの向こうに入ることさえできない。今のあたしは腹部損傷がひどくて1人で歩くことさえままならない。いつの間にか撃たれてた左腕は、固定されてて思うように動かすこともできない。あれからもう3週間。まだ、総は目覚めてくれない。

「つくしさん、大丈夫だ。総二郎はそんなヤワなやつじゃない。私たちをこんなに心配させて、目が覚めたら怒ってやろうじゃないか、一緒に。なあ?」

車いすのあたしの目線にあわせてしゃがんでくださったお義父様のやさしい言葉に、ちょっとだけ頬が動いた。それを見てまわりがホッとする空気を感じた。・・・心配をかけてしまっている。あたしも。





あれから、自分の状況を受け止めることができなかったあたしは、今考えても誰が見ても心配になるくらい頭がおかしくなってた。自分が死んでしまいたかった。あたしが総に代わってあそこに横たわりたかった。なのにあたしは何もできない。

検査をして検査をして検査をして、なのにその結果は誰も教えてくれなかった。だからあたしはお医者様に言ったのだ。あたし自身のことはあたしに話してほしいと。総のことも妻であるあたしが知るべきことだと。それは周囲が止めようが口止めしようが、あたしが知らなくてはいけないことだからと。

お医者様は両親と義両親とかなり話し合いを重ねたようだ。でも、あたしから4人に頼み込んだのもあって先生はそれから検査の結果をすべて話してくれた。

総は・・・やはり脳に被弾して損傷していた。手術で弾は摘出したけど、ケガをしたところが脳だから目が覚めてみないとホントにどうなるのかはわからないとのことだった。だけど、外的刺激には反応をしてるから、手足のマヒはないのではないか、とのことだった。あとは、総も右肩に被弾していたけど、そこは今のところ問題ないらしい。

そしてあたし。内臓損傷してしまったあたしは、今回流産をした。内臓は今のところ順調に回復しているようだけど・・・可能性として、だけど、今後の妊娠は難しいかもしれない、と言われた。卵巣も1つ傷ついてしまい、卵子を作ること自体が難しくなっているらしい。あたしの左肩も問題なく回復しているし、今後についてもあくまでも可能性だから今はあまり気にしなくていいと言われた。言われたけど・・・

きっと、かなり深刻なくらいに妊娠できない状況なんだろうということはなんとなくわかった。お医者様はすごく上手に誤魔化してくれていたけど、同じレベルをうちの両親に求められるはずもない。そうか、だからパパはあまり病院にはこなくて、ママはしょっちゅう涙ぐんでたのか、といまさら理解した。





―――少し1人になりたい。

そう言ったあたしをみんな心配そうにしながらも1人にしてくれた。1人になったあたしは・・・泣くしかできなかった。ただ泣いた。なぜ、どうして、なんで。いろんな疑問符が頭に浮かぶけど、どれも答えなんか出るはずもない。あたしは・・・そんなあたしが、こんなあたしが、これからも総の元にいられるはずがない。総を、西門の大切な未来をあたしが傷つけてしまった。総の大事な、西門の大事な跡継ぎを、あたしはもう産むこともできないかもしれない。

どれくらいそうしていたんだろう。真っ暗な部屋には淡い月の光が差し込んでいて、それがあたしの手を照らしていた。

「(そう・・・え?)」

総。そう声に出したはずだった。あたし、耳までおかしくなってしまったんだろうか?総?総?あれ?何度も声を出すのに聞こえない。でも・・・遠くで車が走る音は聞こえている。まさか・・・あたしがしゃべれてないの?声が出てないの?

手探りでベッドサイドのスマホを手にとった。確か、そう、確かスマホにボイスレコーダーを入れてたはずだ。ONにしてスマホに向かって大声を出してみる。何も聞こえない。その録音した音を再生しても・・・何も聞こえなかった。

は、ははははは・・・声が、出ない。あたし、もう声も出なくなった。ははははは・・・泣きながら笑っても何の音にもならない。あたし、あたしは・・・どうしたらいいの?ねえ、どうしたらいい?そう尋ねたところで答えてくれる人は当然いなかった。

***
あれから3週間。総二郎はいまだ目覚めず、つくしにはついに真実が語られ・・・
自分が、自分のせいでと思い詰めてしまったつくしは、結果として声が出なくなってしまいました。
つくし・・・ごめんね。 次回は今回の件で誰よりも自責の念を感じている人です。

金曜12:00更新です。
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