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2016.11.11 そのまなざしのみつめるさき 1
そのまなざしのみつめるさき
=プロローグ1 みんなが思う先 SIDEつくし=

大好きな歌があった。特別その歌手のファンだったわけじゃないけど、歌詞が素敵で心惹かれた。こんなふうに2人で生きていこうね、幸せになろうね。そう言って笑って飽きることなく2人でその歌を何度も聴いた。普段は日本の歌なんて聴かない彼も好きだと言ってくれたあの曲を、今はつらくて聞くことすらできない。

いろいろな障害もたくさんあった。でも、それらをあたしの気付かないうちに全部払いのけてくれて、いつも笑ってくれて笑わせてくれて、誰よりも大切にしてくれて、愛してくれた。そんなあの人をあたしも誰よりも愛していた。ううん、今だって愛してる。何があろうとこの気持ちは変わらない。

何が悪かったんだろう・・・わかってる、誰も悪くない。運が悪かっただけ。あれから、あの道明寺が涙ながらに何度も頭を下げてくれたけど、それは道明寺のせいじゃない。類は世界的名医を何人も訪ねてくれたけど何の成果もなく、力になれなくてごめんと謝ってくれた。でも、類が悪いわけでもない。

美作さんは忙しいだろうにいつもそばにいてくれて、泣いてばかりのあたしをただ慰めてくれた。桜子も優紀も滋さんも、何度も会いにきてくれて励ましてくれた。でも気がつけばいつも涙があふれて、いつもみんなで泣いた。頑張って笑っても涙があふれてしまっていた。

お義父様もお義母様も、お二人だってつらいのに何度も励ましてくれて、あの家の何の役にも立たなくなってしまったあたしを大事にしてくれた。このことを決めた時も何度も引き留めてくれて説得してくれた。折れなかったあたしのために妥協案をくださってこんな立派な家をくださったんだ。感謝しても感謝しきれない。

「牧野、ここにいたのか。持ってきた荷物運んだぞ。しっかし・・・お前、荷物あれだけか?あれじゃ冬はどうするんだよ。こっち、かなり寒いんだぞ。冬超すには荷物が少なすぎじゃないのか?」

大丈夫だよと合図すると美作さんはあたしを見てつらそうに笑う。もうずっとこんな顔をさせてしまっていて申し訳ないと思う。でもこれが一番いい選択なんだよ、ごめんね。

「ホントにいいのか?あのままは確かにつらいだろうけどまた新しく始める道だってあるんだ、お前が悪いわけじゃないんだし。あいつだって悪いわけじゃないが・・・お前だって被害者なんだ、お前だけが犠牲になることはないだろう。司も気にしてたぞ、明日こっちにくるってさっき連絡が入った。」

困ったなって顔をするとわかったみたいで同じく困ったように笑って頭を撫でてくれる。

「とりあえず中に入ろう、庭は寒い。今、類が紅茶の準備してるしな。」

類が?大変!と走り出すと後ろからかすかに笑い声が聞こえた。もう、わかってるなら止めてくれればいいのになんでそのまま好きにさせたのよ!キッチンに行くと類がお湯が沸くのを待っててほっとした。この人に紅茶を淹れさせるなんて大変すぎる。大体淹れ方なんて知らないんだから。

「・・・何、その顔。俺だって紅茶くらい淹れられるようになったんだよ。このあいだメイドにちゃんと習ったんだから。そんな心配されるのもなんだか心外なんだけど。待ってて、今日は俺が淹れるから。いっつも牧野にばっかりしてもらうのもなんか癪だし、そんな顔されるとなんかムカつく。」

拗ねたような顔した類を見ておかしくなって笑顔を見せると類も微笑んでくれた。それから類が紅茶を淹れるのを見てて、これなら味はまともかな?って安心してホッとしたような顔をしてしまったのか、類はまた拗ねたような顔になった。あたしの思ってることがわかったらしい。

「それにしても・・・こんなとこにあんた1人で大丈夫なの?まあ、あの夫婦からすれば小さい方の別荘だけど、牧野1人じゃ広すぎるだろうし、掃除とかいろいろ大変じゃない?」

「だよな。使用人、ってわけにはいかなくても誰か通いでお手伝いさんでも雇ったらどうだ?お前の状態じゃ日常生活を送るのはちょっと無理があるだろ?荷物1つ、来客1人にも困るはずだぞ?牧野、やっぱり東京に戻った方が・・・」

首を横に振ると2人は顔を見合わせてため息をついた。わかってる。きっとここで1人で暮らすのは大変だってこと。でもこれ以上誰にも迷惑掛けたくない。これ以上傷つきたくない。これ以上泣きたくない。ただでさえ泣かずにはいられないんだよ、たとえ声が出なくても。泣かずにはいられないんだよ、失ったものが大きすぎて。

その夜、2人はあたしが準備した客間に泊まっていくと言ってリビングで飲み始め、あたしは先に休むと言って自分用の部屋に入った。これからはここに1人。いつ声が出るようになるのかわからない。声が戻っても元の生活には戻れない。そんな日はこないだろう、きっと永遠に。

荷物は片付け終わり、すでに置かれた写真立てを見ればまた涙が出た。この写真を見ると涙を堪え切れない。でも片付けてしまうこともできない、寂しすぎて。

ねえ、会いたいよ。昔みたいにやさしく抱きしめてほしいよ。からかわれて遊ばれたっていい、あたしに笑顔を見せてくれるならなんだっていいのよ。愛する人は写真の中で幸せそうに微笑んでいた。

***
ついに!久しぶりの連載がはじまりました~(^-^)//""ぱちぱち

一応年齢設定としては30ちょっとぐらい。結婚している2人のお話です。
今回はサブタイトルをつけてお話を進めていく予定です。この回なら「みんなが思う先」ですね。
予告はしておりましたが切なくてつらい、そんなお話の予定です。お付き合いくださいね。

次の更新は月12:00の予定です。よろしくお願いします。
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